福岡高等裁判所 昭和28年(う)2533号・昭28年(う)2532号・昭28年(う)2531号 判決
裁判官中村捷三の鑑定処分許可状に処分をすべき鑑定人として指名されたのは医師北川勇造一名であるのに右許可に基き鑑定の結果提出され、原判決に証拠として採用された鑑定書の尾末には右北川の外浦田義治の氏名が連記されていること所論の通りである。よつて先づ右浦田は鑑定人北川と如何たる関係に立つ者であり且右鑑定に付如何たる役割を演じた者であるかの点に付いて按ずるに右鑑定書尾末の連名の肩書には佐賀県東松浦郡厳木町岩屋一一九七日満鉱業九州中央病院とあり右鑑定書の作成日(昭和二十八年二月二十六日)に先ち同月二十三日作成された同一死体(荒井定則とあるは荒井貞規の誤記で同一人)に対する死体検案書の作成人が佐賀県東松浦郡厳木村大字岩屋一一九七医師浦田義治となつている点から推すと右北川と右浦田とは共に日満鉱業九州中央病院なる同一病院に勤務する医師で鑑定人北川は本件の鑑定をするに当り既に同一死体の検案をした同僚の医師浦田をその補助者として使用したものであつて単にその関係を明瞭ならしむる目的を以て鑑定書の尾末に自己氏名に並べて右浦田に記名押印せしめたものに過ぎないと解するを相当とする。そして鑑定人は特別の許可がなくとも事宜に従い自己の監督並責任の下に適当なる補助者を使用することはこれを許さるべきものと解し得られるからして北川鑑定人が本件鑑定をするに当り有資格者であり且本件の鑑定に付特に補助者として適当な条件を具えている前記浦田を補助者として使用したからとて右鑑定自体不適法となる謂れもなく又その鑑定書を証拠として採用したからとて何等証拠法に牴触するものでもない。従つて本論旨は理由がない。
(後略)